韓国老人人力開発院&Kyobo生命主催のソウル・シンポジウムで講演

2010年12月19日
 
 

 韓国老人人力開発院と韓国第2の生命保険会社・Kyobo生命の教育文化財団が共同で主催し、韓国保健福祉部などが後援する「老人社会参加活性化フォーラム」が、韓国ソウルの大韓商工会議所 国際会議室で、11月18日に開催されました。

 松本すみ子は、その中のセッションで、団塊世代を主体とした日本の現状をお話しました。当日の様子をレポートします。


開催前の打合せ。右端が老人人力開発院のチョナンボム院長、その左がイ特任大臣、左が松本。

◆老人社会参加活性化フォーラム in SEOUL

 当日の会場には高齢社会の高齢者活用に関心のある人たちがが400名ほども集合。さらに、大統領の側近であるイジェオー特任大臣も出席するなど、大きな会場が埋め尽くされました。

 当日の様子は下記サイトでもご覧になれます。
      ・韓国老人人力開発院サイト       
      ・Kyobo生命サイト

◆基調講演と二つのセッション

 フォーラムは、「ベビーブーム世代の現況と引退に伴う社会的イシュー」と題する基調講演から始まりました。基調講演は日本と韓国から1名ずつ。最初は、江南(KANGNAM)大学シルバー産業学部の教授の佐々木典子さん。留学を契機に、韓国に腰を据えて活躍する日本女性です。日本の現状を主体に、韓国との対比も取り入れた話でした。韓国からは、YONSE大学社会福祉大学院教授キムドンべさん。

 昼食をはさんで、午後からはセッションTがスタート。テーマは「ベビーブーム世代の老後準備実態と老後準備教育の方向」です。

 ここでは、日本から財団法人健康・生きがい開発財団常務理事の大谷源一さんが、主に、財団の活動を発表。実際に、日本で高齢者の活用に取り組んでいる組織の報告は、参加者の大きな関心を得たようです。韓国からは梨花女子大学社会福祉専門大学院教授のキ厶ミへさんが担当。

 セッションでは発表者の発言を基に、3人の専門家が討議を行うというプログラム。このセッションの討論者は、モソンヒ(KONGJ 大学社会福祉学科)教授、ソへギョン(HALLYM大学社会福祉学科)教授、チョンジョンボ(韓国老人人力開発院ホナム地域本部) 本部長でした。

 次は、いよいよ松本が登場するセッションU。テーマは「ベビーブーム世代の仕事とボランティア活動による 社会参加活性化方案」。

 まず、松本が日本における個人の意識、国や自治体の取り組み、団塊世代の活動実例などをお話しました。日本の団塊世代の動向は、同じくベビーブーマーを抱える韓国の皆さんも他人事ではないようで、熱心に聴く様子が目にとまりました。

 韓国からはハンギョンエ(ソウル大学児童家族学科)教授が発表。続いて、3者による討議。メンバーはイムビョンウ(SUNGKYUL大学社会福祉学部)教授、タクウサン(ソデムン老人総合福祉館)館長、チョンジンギョン(KWANGWOON 大学行政学科)教授でした。

 資料はすべて韓国語ですが、会場は完璧な同時通訳。韓国の発表者の内容は大筋で理解できました。だだ、韓国側の発表者は大学教授や研究者が多く、どうしても発表内容はデータ重視で、自身の研究テーマの発表のようになりがちです。韓国の取り組みの現場や当事者の声を知りたかった私にとっては、少し物足りないものでした。

 また、教育者が多かったこともあり、定年退職者の教育が重要だという意見が多く聞かれました。いわゆる生涯教育のことだと思いますが、定年前から第2の人生について考える機会を持つべきだが、それが充分になされていないという意見は日本も韓国も同じだと感じました。

◆日本と韓国、問題の根は同じ

 日本と韓国のベビーブーマーには違いがあります。韓国のベビーブーマー世代は朝鮮戦争後の1955〜63年の9年間に生まれた人たちで、人口は約712万人。韓国の総人口は約4800万人ですから、約14.8%を占めます。

 そして、韓国の定年年齢は多くが55歳。ということは、早い人は2010年に定年が始まったということ。2018年までに311万人が引退すると言われています。定年を基本にすれば、韓国では55歳で「老人問題」の対象となるのです。

 それに関して、発表した韓国の大学教授の何人かから、年齢的には自分もベビーブーマーに属していることになるらしいが、自分ではそういう気はまったくしないという発言がありました。確かに、55歳で「老人」はきつい。いわゆる社会的な定義と当事者の実感の間には大きなかい離があるのは、韓国でも同じのようです。

 韓国の少子高齢化は日本よりも早いスピードで進んでいます。その原因はもちろんベビーブーマーの高齢化ですが、もうひとつは出生率の問題。女性が生涯に生む子供の数は、日本の1.3人よりさらに少なくて、1.2人。日本と同じような人口減が予測されます。もともと人口の少ない国ですから、問題は大きいのです。

 一方、日本の団塊世代は1947〜49年までのたった3年間に生まれた約700万人を指します。日本の総人口は約1億2千700万人なので、約5.5%です。その多くはすでに定年を迎えましたが、かなりの人たちが再雇用などでまだ働いています。しかし、問題の根は同じです。

 どちらにも共通なのは、この人たちが社会のお荷物のなるのか、あるいはもう一度、社会で活躍できるか、貢献できるかで社会の衰退度が大きく違ってくるということ。両国とも、今までのような経済活力を維持するには、リタイアした人たちを社会でどのように活用できるか、現役時代とは異なる新たな活躍の場を作ることができるか、これが社会的大テーマの一つだということでしょう。当事者も含め、社会を構成するすべてに人が考えなければならない問題なのです。

*11月19日の開発院職員の皆さんとの懇談会の様子は、こちら

 
 
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