コラム『松本すみこのシニアライフ』 No.1

  シニアマンションを選ぶなら

2015年5月11日

 
 

       *このコラムへの読者のご意見が文末に掲載されています。

 最近、分譲型シニアマンションの広告をよく目にします。有料老人ホームとは違って、介護状態になる前に入居し、各種サービスを受けながら、アクティブに暮らすためのマンションです。

 有料老人ホームは入居時に、入居金をまとめて支払い、それを年々償却していく方式。死亡すると、資産はチャラになってしまいます。いっぽう、シニアマンションは通常のマンションと同様に、亡くなった後も子供や家族に資産として残すことができます。

 このあたりのことは私でも分かるのですが、では、普通のマンションとシニアマンションとは、いったい何が違うのでしょうか。入居のメリットはどこにあるのでしょうか。今後、業界ではシニアマンションに力を入れていく傾向とか。自分が入るか入らないはともかく、知っておく必要がありそうです。ということで、あるシニアマンションの見学会に出かけてみました。

年齢制限はなし

 シニアマンションといっても、入居時の年齢制限はありません。子供などと暮らすことも可能です。中には40代で関心を示すご夫婦もいるとか。つまりは、いずれ、こういうマンションを選択する時期が来るなら、今から利用したほうが得という判断をする人もいるということです。ただ、普通のマンションと違って、維持費は割高です。若いうちに入るにはそれなりの余裕が必要でしょう。

 老人ホームに近いのはマンション内にクリニックがあること。入居時には病院の健康診断を受けてもらうそうです。入居後に何かあったら、その情報(カルテ)が役に立たつからとのことでした。これあはいいシステムですね。

 このマンションには、ファミリー用のマンションが同じ再開発地域内に隣り合って建設され、スポーツや会合・研修などに使える共用の建物もあります。シニアのコミュニティといえば、シニアだけ暮らしていることが多いのですが、こうした混在型のほうが、日々の暮らしの刺激にもなりますね。

銭湯気分の共同浴場は魅力かも

 さて、肝心のシニア向けサービスには、他にどんなものがあるのでしょうか。アクティブシニアにとってもっとも大事なのは、万一の場合に頼りになる安心サービスと、年と共に増える日々の暮らしの不便を解消してくれる生活サービス。その点、緊急コールボタンでいつでも連絡できる24時間スタッフ常駐サービス、そして、食事を作りたくない時のレストランサービスは便利です。レストランはルームサービスもしてくれるそうです。でも、これらはシニア向けとしては、当然のサービスかも。

 私がいいと思ったのは、共同入浴施設。お風呂の準備って、案外、たいへんです。疲れて帰ってきた時に、お湯を抜いて、掃除して、お湯を張って、待つこと20分。そのうち寝てしまったり、面倒になってシャワーで済ませたりすることもあります。そんな時に、施設内に着替えなしで行けるお風呂があれば重宝です。銭湯気分で、親しいお仲間もできるかもしれません。

 他に、クリーニングや家事代行などの取り次ぎサービス、相続などの相談サービス、新聞の玄関配達、コミュニケーションスペースなどの共用施設、仲間づくりのためのコミュニティサービスなど。これらも通常のマンションにもあるサービスですね。

 忘れがちなのは、地域社会に親しむための支援。マンション住民であっても、地域の住民であることに変わりはありません。マンションという隔離された別世界のような暮らしは、当人にも地域にもよくありません。供給側は地域社会での役割や義務をしっかり伝えて、地域に溶け込むための情報や後押しをすべきでしょう。それもマンションの価値を高めることになるのだと思います。

アクティブな暮しには立地が重要

 アクティブシニアであれば、もっとも重視したいのは立地。元気であれば、家にばかりいるはずがありません。ショッピングや娯楽、友人たちとの会食など、出かける機会も多いはず。まして、まだ仕事を持っている人であれば、外出が面倒な場所は困ります。その点、このマンションは駅にも近く、最寄りの駅から主要ターミナルへの交通も便利でした。

 また、周辺環境も大切です。散歩の可能な道や緑の場所があるか、散歩の帰りに寄れる日々の買い物ができる店舗やショッピングセンターがあるかどうか。外に出かけたくなるような環境は、健康にもいいのです。

 そして、意外に重要なのは、窓からの風景。朝、目覚めてカーテンを開けた時に、目の前に大きな視界が広がるのと、隣の建物の壁などが見えるのとは、気分に大きな違いがあります。できるならば、見晴らしのいい高い階を購入することをおススメします。地震の時にエレベーターが止まったらと心配する人もいますが、それは時々です。窓からの景色は毎日のこと。

介護状態になったらどうする?

 気持ちのいい住まいを確保できたとして、では、シニアマンションは終の住処になるのでしょうか。実は、介護状態になった時のサービスというのは付帯されていません。これが老人ホームと違うところ。あくまでも、健康なアクティブシニア向けなのです。

 とはいえ、介護が必要になったら、このマンションを販売して、その資金で老人ホームに移るということもできます。そうした相談にも乗ってくれますし、在宅介護の場合は、管理会社が契約している介護ステーション、ケアマネなども紹介してくれます。

 ただし、有料老人ホームとは違うということを、しっかり頭に入れて検討すべきです。

高いか安いか、管理費が思案のしどころ

 マンションの分譲価格は2千万円台後半(1LDK)から6千万円台(2LDK)まで。場所によりますが、たぶん、多くのシニアマンションの価格も同程度でしょう。しかし、スペースは、一般的な有料老人ホームに比べたら格段に広いはずです。以前、高級有料老人ホームというのを見学させてもらったことがありますが、コンテナの中かと思うくらい狭かったのを覚えています。自分の持ち物はほとんど持っていくことが出来ない感じでした。

 管理費はファミリーマンションの3倍ほどはかかるようです。共用部分が多く、多くのサービスがあるので当然です。高いと思う人もいれば、老人ホームのサービスが使えると思ったら、安いと考える人もいるでしょう。どのように判断するかは、入居を希望する人の資金と状況によるのではないかと思います。

 このマンションはなかなか魅力的でした。ただ、私はすでに自宅を持っています。なので、正直、このマンションに買い替えるというメリットはあまり見出せませんでした。確かに、便利な機能やサービスはありましたが、どれも今は緊急で必要とはしていません。そう思えるのは、自分自身がとりあえず健康だからでしょうか。

 かたや、何かあってからでは遅い、健康な今のうちに入っておくのだという考えも成り立ちます。これも人それぞれです。ちなみに、ローンは70歳まで組めます。親子償還ローンも可能だとのことでした。

 以上は、私が見学したシニアマンションの場合の設備やサービスで判断したものです。デベロッパーによって違いがあります。関心のある方は、充分な調査と見学を重ねることをおススメします。

                                        *写真はイメージです

【読者からの意見・感想】

読者から、上記の記事にご意見をいただきました。2件あります。ご本人の了解を得て、掲載しています。

◆ファイナンシャルプランナー(FP)・木下利信さん:経験豊富なFPの意見です。

今回のメルマガで「シニアマンション」のことに触れておられました。コンセプト的には「有り」と思いますが、実際上はお勧めし兼ねるというのが私の意見です。

FP相談のお客様で、5年前に購入した関西のシニアマンションを購入され、その処分を巡って大苦戦しています。関西出身のため、興味を持ち購入したものの、自分で住む可能性が無くなったことから処分する方針を立てました。しかし、1年間処分が進まず、毎月の高い管理費だけが無駄な出費として続いています。

売却するにしても、また賃貸に出すにしてもネックは通常のマンションよりはるかに高い管理費です。更に、通常と同じ管理組合による運営がされるため、新たな管理組合長が高い管理料を下げる方策として、介護ステーション閉鎖等のサービス削減を決定するなど”迷走”も始まっています。これが、売却を阻害する新たな要因にもなっています。

根本的な問題は、サービスメニューに価値を見出す入居者とそうでない入居者が混在していることにあります。コンセプトは良くても、実際のオペレーションが難しいということです。

◆岡田久男さん:老人ホームの見学会を開催しているそうです。

家内から昔、「有料老人ホームというけれど、無料の老人ホームってあるの?」と聞かれて、答えられませんでした。

有料老人ホームから通勤している利用者もわずかですがいます。シニアライフアドバイザー協会関東支部・東京では、10年近く、老人ホームの見学会をやっていますが、ワンルームで19〜20uが多いですよ。「車いす」が出入りできて、介護度が高くなっても、キケンでない適度の広さ、と聞いた。コストパフォーマンスの関係もあるが、総じて広い部屋は要らない。鳥小屋くらしだから。クロゼットなんか、コート3着もかけたらいっぱい。

家を引っ越すのではなく「瞬の住処」だから、贅沢はいえない。最近は、金さえだせば、広い部屋も選択できるようになった。

 
 
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