コラム『松本すみこのシニアライフ』 No.5

 

小学唱歌とロック

2015年10月20日

 
 

「ザ・デイサービス・ショウ」というミュージカルを観てきました。
主役は中尾ミエ、他に、尾藤イサオ、モト冬木、庄司歌江などが
出演していて、芸達者なところを見せてくれました。 なにより、あの「かしまし娘」の庄司歌江さん(86歳)が、 三味線をギターに持ち替えて歌う姿に感動しました!

あらすじはこうです。
デイサービスで、お年寄りたちがリハビリを兼ねて毎日歌うのは小学唱歌。 ある日、往年の大歌手扮する中尾ミエが慰問に来て、お年寄りといっても、 ここにいる人たちはプレスリーやロックを聴いていた世代なのではないか と気が付くのです。

そこで、職員にもっと世代にあった音楽を取り上げてはどうかと提案。 しかし、余計な手間暇をかけたくない職員は、年寄りには小学唱歌が 一番といって取り合ってくれません。

ある日、ほとんど認知症状態だった男性が、ロックの名曲を口ずさんでいる ことに気がつきます。すると、「ギターが得意だよ」という男性も現れます。

そして、最後は、記憶と若々しさを取り戻したお年寄りたちによる大演奏会が始まるのです。

確かに、年代的に往年のロカビリー世代がデイサービスに通っていてもおかしくはありません。そして、早晩、団塊世代が通いだす時もくるでしょう。

しかし、 こう書くと、「自分は絶対デイサービスになんか行かない」と思っている人も多いはず。 では、ちょっと、デイサービスについて考えてみませんか。

デイサービスは、お年寄りが軽い体操や音楽などのレクリエーションを楽しみながら、機能訓練や、食事・入浴サービスなどを受けることができる通所型の施設です。それなのに、利用者は女性が多く、男性は少ないそうです。なぜか?

ある男性は、私に「チイチイパッパさせられるからいやだ」と言いました。 お遊戯のような体操をさせられ、まるで幼児のような扱いをされる。 年を取っても、プライドがある。子供扱いはご免被るということのようです。 確かに、気持ちはよくわかります。なにか方法はないのでしょうか。

以前取材した中に、元サラリーマンの男性たちが始めたというユニークなデイサービスがあります。「男が来ないなら、男が来たくなるようなデイサービスを作ればいいじゃないか。同性の自分たちならできるかも」と手を挙げたのです。

もちろん、介護経験もなければ、福祉も素人。ただ、かえって、それがよかったのですね。麻雀はもちろん、お酒を飲む日の設定など、男性が喜ぶようなプログラムを工夫し、男性の利用者を大きく伸ばしました。

シニアも時代によって変わります。お年寄りは最初からお年寄りではありません。利用者がどんな青春時代を過ごしたか、どんな時代の変化を経験してきたのか。それを考えた運営も必要なのではないでしょうか。利用者は変わるのに、施設もサービスも旧態依然としていたのでは、本当に必要な人が利用しないことになりかねません。団塊世代もやはり、小学唱歌の合唱では満足しないでしょうね。

ところで、万一、お世話されるような時が来たら、素直にデイサービスなどの利用も受け入れましょう。頑固は禁物。お世話する家族だって息抜きが必要だし、冠婚葬祭で外出する必要もあります。必要以上に片意地にならないように、注意しなければならないなあと思うのでした。

 
 
最新ニュース一覧    トップページ
 

copylight 2004 arias All rights reserved.