コラム『松本すみこのシニアライフ』 No17

 

おじいちゃんマネキンが売る!

2016年7月26日

 
 

駅前のスーパーの売り場に、時々、不釣り合いの大きな声が響きます。
三陸のわかめや昆布を販売する特設コーナーができると、その声が響くのです。
声の主はマネキンさん。マネキン人形ではありません。 店頭で商品を紹介しながら、販売する人のことです。

食品売り場は地下ですが、1階のエントランスを入ったとたんに 聞こえるので、ああ、今日は三陸海産物の日だとわかるほど。

「そんじょそこらのものではありません。三陸です!」と、 力いっぱいアピールするその人は、どうみてもおじいちゃん。
腰が少し曲がっているようですが、前掛けをかけて元気いっぱい。 お客さんと話しているのを聞いたら、80歳を超しているらしい。

最近は、人出不足も手伝って、コンビニやファストフード店だけでなく、 いろんな場面で働くシニア世代を見かけます。 でも、80歳を過ぎた男性マネキンさんに会うのは初めて。
しかも、それとなく見ていると、意外と売れているようなのです。

こういう販売コーナーは断るのが苦手の人には近寄りたくない場所。 ゆえに、私などは最初から避けて通り、マネキンさんがいなくなってから品物をみるという姑息なことをしております。

だから、あまり効果があるとは思えないマネキンさんを使う理由が分かりませんでした。

なのに、おじいちゃんマネキンさんの前では お客さんが立ち止まるのです。
主なお客さんは、同じような世代のお母さんやお父さんたち。 同世代の親近感が呼び寄せるのでしょうか。

で、これはかなり優れたシニア活用の販売方法ではないかと思うように なりました。高齢化するお客さんたちは、マニュアル通りに気のない 対応する店員さんよりも、世間話でもしながら買い物ができたほうが、 断然楽しい。

だから、会話も販売員対お客さんという感じではなく、ため口です。
「これは、こうするとうまいんだよ。やってやるよ」「あら、助かる」
昔のように、地元の商店で買い物をしているような気分になるのですね。

おじいちゃんマネキンさんも、こうしてお客さんと話をすることで、 さらに元気を保っているのでしょう。何より、収入があることは人を 幸せにします。
おじいちゃんの大声の理由がわかるような気がしました。 毎日が楽しいんだなあ、きっと。

時間を持て余しているシニアの皆さん。第二の人生は販売員になり、 人との出会いと収入を得るという方法もありかもしれません。
現役時代に部長だ、役員だといっても、もはやどれほどのことでもないし。 楽しいほうが人生は勝ち!

雇用する側も、人出が足りないからシニア世代を使うという後ろ向きの理由 ではなく、シニアが元気になる場を提供するという、社会貢献を意識した 取り組みとして考えてみるのはいかがでしょうか。

*写真はイメージです。

 
 
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