コラム『松本すみこのシニアライフ』 No.25

 

最近、怒りっぽくなってない?

2017年4月29日

 
 

年を取ったら“好々爺”は本当か

「好々爺」という言葉があります。「善良でやさしい老人」という意味です。
以前は、年を取り経験を積めば、酸いも甘いも噛み分けて人間が丸くなり、 お年寄りは優しくなるという認識が一般的だったように思います。

ところが、今ではむしろ「怒れる老人」などと言われ、困った存在と 思われたりすることもあります。

そもそも、年を取ると人間が丸くなるという認識は正しいのでしょうか。

丸い人はもとから丸い、切れる人はもとから切れやすいというのが本当の ところでしょう。

もちろん、人は年齢とともに変化していきます。
私にもそういう時があったのですが、花も恥じらう乙女の頃(!?)は、こうしてもらいたいなあと思っていても恥ずかしくて言えず、違うなあと思っても、 我慢していたりしたものでした。

あれから40年(綾小路きみまろ風で)。りっぱなおばちゃんになりました。

今では、「こうしてくれない?」「なんで? おかしいじゃない!」などと、 なんの躊躇もなしに言えます。こういう変化は普通のことでしょう。

しかし、何かをきっかけに、突然、変貌する人もいます。
最近のニュースにも、ご近所に1日中怒鳴り散らしている60代男性が ついに逮捕されたというニュースがありました。トラブルになる前は、 ご近所でも世話好きのいい人という評判だったそうです。

どこで間違ってしまったのでしょうか。挙げたこぶしの納め時を失って しまったのかもしれません。プライドを傷つけられて、自分の気持ちが 抑えなれなくなったのかもしれません。誰にも分ってもらえないという 思いを抱えた、ある意味で、かわいそうな人でもあります。

怒りをコントロールする術

最近注目されている言葉に「アンガーマネジメント」があります。
アンガー(anger)は、怒りやいら立ちといった感情のこと。

怒りに任せて感情を爆発させるのではなく、自分自身の怒りやイライラに 向き合い、客観的に原因や理由を把握することで、自分で抑制できる ようにする方法です。

最近、イライラが多いと思ったときは、この手法を学んでみるのも ひとつの方法。特に講座などに参加しなくても、「アンガーマネジメント」 (朝日文庫)という本などを読んでみるのもいいでしょう。

また、自分は怒りの要素が強いと思った人は、カウンセリングを受けて 見てもいいかもしれません。

日本アンガーマネジメント協会に「アンガーマネジメント診断」という ページがあったので、自分のアンガー度を知りたく、トライしてみました。

→ https://www.angermanagement.co.jp/angertest

その結果、私は「用心堅固な人」に属するらしいです。 人や物事に慎重なところがあり、物事を鵜呑みにしないタイプ (これは納得)。自分の頭で冷静に客観的に理解する力があるが、その一方で、人に心を開くのが苦手で、人間関係でストレスを 感じやすい面を持っているとか。(まあ、当たってるかも)

怒るべきときは怒る!

ただし、何にも怒らないおとなしいシニアなんて、詰まりません、
怒るべきところでは大いに怒るべきでしょう。

村上龍が書いた『オールド・テロリスト』(文藝春秋)という小説があります。
著者自身が書いたあとがきを紹介しましょう。

「後期高齢者の老人たちが、テロも辞さず、日本を変えようと立ち上がると いう物語のアイデアが浮かんだのは、もうずいぶん前のことだ。
その年代の人々は何らかの形で戦争を体験し、食糧難の時代を生きている。 だいたい、殺されもせず、病死も自殺もせず、寝たきりにならず生き延びる ということ自体、すごいと思う。
彼らの中で、さらに経済的に成功し、 社会的にもリスペクトされ、極限状態も体験している連中が、義憤を覚え、 ネットワークを作り、持てる力をフルに使って立ち上がればどうなる のだろうか。どうやって戦いを挑み、展開するだろうか」

テロをするほど過激ではないにしても、人生の経験者が次の時代を考えた ときに、つまらない私憤ではなく、冷静に判断して上げる怒りの声なら、 それは価値のあることではないでしょうか。

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