シニアとコミック

 

コラム『松本すみこのシニアライフ』 No.34

2018年1月30日

 
 

貸本屋の記憶

30代くらいの若い人たちに、何の話題からか、私が子供の頃は漫画の貸本屋があって、よく利用したものだという話をしたら、とても驚かれました。

団塊世代前後の皆さん、利用したことはありませんでした?

小学生低学年のころだったでしょうか。近所にあった貸本屋には少年漫画、少女漫画がずらりと並び、これは読んだから、今度はこれにしようと棚をせっせと物色したものです。

いくらで借りたかは忘れましたが、当時の子供の小遣いで利用できる金額だったことは間違いありません。1泊か2泊くらいで読み切って返しに行った覚えがあります。

当時の貸本屋の漫画は、すでに出版されたものを貸し出すのではなく、貸本専用のオリジナルストーリーでした。たしか、のちに漫画雑誌に連載してヒットした水木しげるさんの『ゲゲゲの鬼太郎』も、最初は貸本屋用に書かれた作品だったと聞いています。

今では信じられませんが、当時の私は夢見るおセンチ少女だったらしく、タイトルに「涙の・・・・」というのを借りることが多かったようです。店のおばさんに「今日も“涙”だね」と言われ、そうか、私にはそういうところがあるのかと、幼いながらも自分の一面を自覚したことを、今でも思い出します。

当時の貸本屋は、今のTSUTAYAなどのレンタルショップのさきがけと言えるでしょう。

その後、少女漫画でいえば、フレンドやマーガレットなどの月刊誌、週刊誌が登場し、1960年代にはほぼ消滅したとあります。私は貸本屋利用の最後の世代だったか。

大人も楽しみたいコミック

そんな経験があるシニア世代は、漫画が好きなはず。しかし、やはり私たち世代が読むに堪えるような漫画はあまり見つかりません。今さら、高校生の恋愛を描いた漫画を読む気にもならないし(このパターンが一番多い)、人殺しや人食いの気持ちの悪い漫画を読む気にはなりません

でも、時々、暇つぶしに書店のコミックコーナーを覗いたりします。たまには、大人が耐えうる漫画を見つけることもあります。

あくまでも私の趣味ですが、その中からいくつか紹介しましょう。皆さんの好きなコミックがあれば、ぜひ教えてください。

漫画出版界の皆様、大人が普通に楽しめるコミックにもっと力を入れてみるのはいかがでしょうか。売れるかもです。

ほのぼの実話『大家さんと僕』

今、話題のコミック。お笑いコンビ「カラテカ」のボケ担当・矢部太郎のヘタウマ絵がかえっていい感じ。

新宿のはずれにある一軒家の大家さんはひとり暮らしの86歳。その2階を借りることになった主人公と、東京で生まれ育った上品な大家さんとのほのぼのした暮らしが描かれている。

ひとりぼっちの若者と同じく、ひとりぼっちの高齢者が次第に理解し合い、支えあうようになる日々がこころ和む(新潮社)。


過激派・小林よしのりが描く過激老人『遅咲きじじい』


『ビックコミック』に連載された作品を単行本化したギャグ漫画。

定年退職した62歳の遅咲散太郎は妻を病気で亡くし、気ままな生活を送っている。

大人びた孫、巨乳美人、幽霊の妻などの登場人物のほとんどが変人という過激漫画。老人になることへの抵抗感が満載(小学館1〜3巻) 。

巨匠・山田太一原作『空也上人がいた』

映画監督・山田太一の書き下ろし小説を、荒井秀樹が漫画化。

特養ホームで老婆を死なせてしまった27歳のヘルパー草介は、女性ケアマネの重光さんの紹介で、81歳の老人の在宅介護を始める。

この老人、草介と重光さんにありえない要求をする。そして、老人がなくなり・・・。

ネタバラシはしないので、結末はコミックで確認を(小学館)。

山本周五郎原作の現代版『ちいさこべえ』

これはシニアが主人公ではないが、山本周五郎の小説『ちいさこべ』を望月ミネタロウが漫画化したもの。

火事で両親も店も失ってしまった大工の若棟梁・茂次。家業を再興させると片意地をはる彼に、20歳で母親を亡くしたりつという若い女性が絡む。

同じく家事で焼け出された福祉施設の子供たちの面倒をみることになる二人。一筋縄ではいかない子供たちと茂次たちの奮闘がリアル(小学館)。

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